ABOUT PROJECT

STAND UP STUDENTS Powered by 東京新聞

Powered by 東京新聞ABOUT PROJECT

いま、わたしたちのまわりで、
起きていること。

毎日の勉強や、遊びに恋愛、就活。普段の暮らしの中では見えてこないたくさんのできごと。環境のことや政治、経済のこと。友達の悩みも、将来への不安も。小さなことも大きなことも全部、きっと大切な、自分たちのこと。

確かなこと。信じること。納得すること。コミュニケーションや、意見の交換。
あたりまえの自由さ、権利。流れてきた情報に頼るのではなくて、自分たちの目で耳で、手で、足で、感動をつかんでいく。

東京新聞『STAND UP STUDENTS』は、これからの社会を生きる若者たちに寄り添い、明日へと立ち向かっていくためのウェブマガジンです。等身大の学生たちのリアルな声や、第一線で活躍する先輩たちの声を集めることで、少しでも、誰かの明日の、生きる知恵やヒントになりたい。

時代を見つめ、絶えずファクトチェックを続けてきた『新聞』というメディアだからこそ伝えられる、『いま』が、ここに集まります。

STUDENT VOICE

香山千晴

20歳

STUDENT VOICE

「らしくない」と決めつけず
一人一人と向き合いたい

香山千晴 20歳

「らしくない」と決めつけず
一人一人と向き合いたい

私は日本生まれ日本育ちの中国人。両親とも中国人。でも名前と見た目、少しの会話だけで多くの人が私を『日本人』と決めつけるのが不思議です。「私らしさ」を、国籍や人種、文化、宗教、ジェンダーで乱暴に決めつけられたくありません。誰もが自分の見た目や好きなものに対して口出しされたくないのと同じで、私も他人に「らしくない」とか言わないし、ちゃんと一人ひとりに向き合って、相手のことを言葉で深く知りたい。尊重したいです。

新聞やニュース、メディアについて
聞かせてください
ニュースは基本、ウェブメディア や SNS で社会的なトピックを扱うアカウントをフォローしたり、友人や家族と会話したり、ゼミやインターン先で気になったトピックをシェアして得るようにしています。一時期ニュースアプリに課金してたんですが、情報が無料で手に入ることに慣れてしまっている世代にとって、有料の情報というのはなかなか選ばれにくいように思います。
東京新聞の記者に
聞いてみたいことはありますか?
子どもたちの居場所を作る NPO の支援活動で、子どもが今のうちから自他の多様性を尊重できるように、まずは子どもたち自身の短所や特異点を認めてあげられるような接し方を心がけています。記者のみなさんはご自身の短所や他人と異なる点をいつ(どんな時に)、どのようにして受け入れてきましたか? また、自分の短所で悩んでいる人への取材で心掛けていることはありますか?
回答 あり

東京新聞 社会部 中村真暁から

初めまして。香山さんの質問に答えようと、腕まくり気味に書き始めたのですが、ちょっと不安になってきました。実は私、まだ自分の弱さ(短所)を受け入れられないんです。それでもよければ、聞いていもらいたいと思います。

私は思春期のころから、摂食障害という精神疾患を患っています。過食と嘔吐を続けてきたのですが、30歳で治療につながるまで、症状と向き合うことすらできませんでした。

回復の兆しが見えたのは、自助グループに通い始めてから。安心できる環境下で思いを話したり、仲間の話を聞いたりするうちに、女性らしさや母親らしさといった価値観に縛られ、振り回されていたことに気づきました。そのうち、症状自体も少しずつ改善していきました。

経済的な理由や障害などにより、生きづらさを抱えた人たちを取材したことも回復するきっかけとなりました。他人から自分らしさを否定された経験があっても、力強く生きる姿に、私もこのままでいいと励まされました。

ただ、完全に自分を許せたかというと、自信はないです。ダメな部分ばかりが見えて、ぐぅっとおなかが痛くなる感じは今もよくあります。まだまだ、もやもやの連続。受け入れ途上なんです。

生きづらさを抱える人への取材は、今も多いです。相手が自分らしくいられるよう、気を付けているのは安心してもらうこと。ペンの力を持つ記者は強い権力を持つからこそ、「少しでもつらいと思ったら、取材をやめていいです」「取材後も、気になることがあれば相談してください」と声をかけるようにしています。

丁寧に耳を傾けることも、心掛けています。差別や偏見は息を吐くように、無意識にするものだと思います。誤った認識や一面的な情報から、「らしさ」を他人に押しつけ、苦しませている可能性は私にもあります。だから難しいのだけれど、「ちゃんと一人ひとりに向き合いたい」という香山さんの姿勢は大切だと思いますし、共感しています。

中村真暁(なかむら・まあき)
石川県津幡町生まれ。2009年入社。富山支局、北陸本社経済部などを経て2017年から社会部。主に都内の街ダネを担当。台東区と荒川区にまたがり、生活困窮者が多く暮らす山谷地域での取材活動をきっかけに、貧困問題に関心を持つ。2020年貧困ジャーナリズム賞受賞。35歳。
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