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STAND UP STUDENTS Powered by 東京新聞

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いま、わたしたちのまわりで、
起きていること。

毎日の勉強や、遊びに恋愛、就活。普段の暮らしの中では見えてこないたくさんのできごと。環境のことや政治、経済のこと。友達の悩みも、将来への不安も。小さなことも大きなことも全部、きっと大切な、自分たちのこと。

確かなこと。信じること。納得すること。コミュニケーションや、意見の交換。
あたりまえの自由さ、権利。流れてきた情報に頼るのではなくて、自分たちの目で耳で、手で、足で、感動をつかんでいく。

東京新聞『STAND UP STUDENTS』は、これからの社会を生きる若者たちに寄り添い、明日へと立ち向かっていくためのウェブマガジンです。等身大の学生たちのリアルな声や、第一線で活躍する先輩たちの声を集めることで、少しでも、誰かの明日の、生きる知恵やヒントになりたい。

時代を見つめ、絶えずファクトチェックを続けてきた『新聞』というメディアだからこそ伝えられる、『いま』が、ここに集まります。

STUDENT VOICE

齋藤全

19歳

STUDENT VOICE

いじめは絶対に反対
社会全体で向き合わないと

齋藤全 19歳

いじめは絶対に反対
社会全体で向き合わないと

将来的に教育関係の仕事に就きたいなと思っているんですが、教育現場の『いじめ』の問題をもっと社会全体で変えていかないといけないと感じています。いじめられた子は一生そのせいで苦しみます。もちろんいじめる側が100%悪いんですが、まだ人格の形成が不完全な子どもにいじめるなというのも難しいから、いじめる側を指導するだけではなく、大人はもっといじめられた生徒に寄り添って、いじめが起きる構造から変えていかないと。

新聞やニュース、メディアについて
聞かせてください
発信している媒体がどこなのかを見るようにしてますね。個人がなんの根拠もない発言をしてバズってるのも見ても「なんだかなぁ」って感じで…。できるだけ新聞社や信頼できるメディアをフォローするようにしてます。SNS で政治的な発言をしてくれる有名人のおかげで、いろいろな問題について知ることができるので、もっと発信してほしいですね。
東京新聞の記者に
聞いてみたいことはありますか?
コロナの影響で登校できない子がいたり、環境による教育格差が生まれていると聞きます。これからの教育現場はどのように改善されていくのでしょうか?
回答 あり

中日新聞 教育報道部 宮崎厚志から

1人の先生に対して40人の生徒が狭い教室に詰め込まれ、同じ知識を詰め込まれる。これが150年間ずっと変わらなかった日本の学校風景です。しかし今、教育は大きな転換期を迎えています。その流れをひと言で言うと「個別最適化」。一人ひとりに合わせた内容や場所やペースで、関わり合いを保ちながら学ぶ。一部の先進的な学校では始まっていますが、これが全体に広がることが理想です。

そうした流れのなかで、齋藤さんの問いにある課題も解消されていくでしょう。カギになるのは、ICT(Information and Communication Technology=情報通信技術)です。GIGAスクール構想によって1人1台の端末が行き渡れば、コロナで学校に行けなくても授業に参加できます。また、塾に行けない子どもでも、良質なオンライン授業を受けることができ、教育格差の縮小も期待されています。

ただし、現状の日本の学校でのICT利用率は、先進国中最低レベル。端末だけでなく、通信環境も整備され、教員も児童生徒も自在に使いこなせるようにならないと意味がありません。また、教育格差は各家庭の社会経済的地位が何世代にもわたって固着してきたものなので、所得や地域による体験機会の差が拡大している日本では、むしろ広がっていくと思います。

いじめの認知件数は年々増加しています。これは見過ごされたり握りつぶされていたいじめをきっちり数えるようになったという点で、肯定的に捉えられます。一方で、いじめを原因とする不登校や自殺も後を絶ちません。齋藤さんが考えている通り、いじめは学校だけでなく、社会全体で取り組まなければならない構造的な問題です。

私は、いじめの原因は幼少期からの人格形成にあると考えています。自己肯定感が十分に育まれていないと、他人をおとしめて優越感を得たいという欲望が生まれます。そうしたいじめの種が、多様性を排除し横並びで比較されがちな学校という畑で芽を出してしまう。その芽を摘まれないまま成長した大人は、会社や家庭でもさまざまなハラスメントを起こし、その影響は子どもに向かう。そんな負の連鎖のイメージです。

もはや日本は教育後進国です。教育への公的支出の割合はOECD35カ国中最低で、人も金も足りない教育現場は課題山積です。何より子どもの幸福度が低い。だからこそ、教育を志す学生さんの存在はとてつもなく大きい。もし齋藤さんが教員をめざすなら、ぜひ自分の個性を存分に発揮してください。多様性にあふれたいじめのない学校をつくるためには、教員もまた多様でなければならないからです。お手本になる個性的で素晴らしい先生たちはたくさんいます。それが日本の希望でもあります。

宮崎厚志
2002年入社。スポーツ紙記者としてサッカー、プロ野球などを担当後、育児休暇を挟んで教育記者に〝転職〟。義務教育担当として、学校改革や不登校をテーマに取材中。
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