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いま、わたしたちのまわりで、
起きていること。
毎日の勉強や、遊びに恋愛、就活。普段の暮らしの中では見えてこないたくさんのできごと。環境のことや政治、経済のこと。友達の悩みも、将来への不安も。小さなことも大きなことも全部、きっと大切な、自分たちのこと。
確かなこと。信じること。納得すること。コミュニケーションや、意見の交換。
あたりまえの自由さ、権利。流れてきた情報に頼るのではなくて、自分たちの目で耳で、手で、足で、感動をつかんでいく。
東京新聞『STAND UP STUDENTS』は、これからの社会を生きる若者たちに寄り添い、明日へと立ち向かっていくためのウェブマガジンです。等身大の学生たちのリアルな声や、第一線で活躍する先輩たちの声を集めることで、少しでも、誰かの明日の、生きる知恵やヒントになりたい。
時代を見つめ、絶えずファクトチェックを続けてきた『新聞』というメディアだからこそ伝えられる、『いま』が、ここに集まります。
STUDENT VOICE
魯良希(ろ りょうき)
22歳
STUDENT VOICE
正社員至上主義に
疑問を感じます
魯良希(ろ りょうき) 22歳
正社員至上主義に
疑問を感じます
学生を卒業したら正社員として就職しなくちゃというプレッシャーも、正社員でなければ十分に受けられない社会保障制度が存在するのも、全部『正社員至上主義』の考え方から来てるのかなと思います。とはいえ、私自身も卒業したら就職する現実にジレンマを抱いています。リモートワークやシェアリング・エコノミーが推奨されるようになって、いろいろな働き方をする人たちが増えているはずなのに、非正規労働者はやはり生活が苦しい人が多いまま。「働き方改革」って、働く人のための改革じゃなかったっけ?人間を『労働力』として消費せず、一人ひとりが自分らしく働いて暮らせるように、国には、様々な種類の社会保障を見直してほしいなと思います。
東京新聞 経済部 久原穏から
日本の働き方が抱えている問題点を鋭く指摘していて、とても頼もしく感じます。いただいた質問は、まさにメディアに突きつけられた悩ましい問題提起で深く考えさせられました。
おっしゃるように日本はまだまだ正社員至上主義です。正社員とそれ以外の働き手の格差は、賃金などの待遇面でも、失業や労災といった、いざという時のセーフティーネットの面でもあまりに大きい。
コロナ禍では、その格差があぶり出されたといっていいでしょう。懸念されるのは「ギグワーカーなどは不安定な働き方だから制限すべきだ」といった議論が強まるのではないかということです。
これは自戒を込めて言うと、ステレオタイプに報じるメディアにも責任があるし、「柔軟な働き方」としてギグワークなど雇用されない働き方を推奨しながら、その保護策は先送りしてきた政府の責任もあると思います。
ご質問の「どのような切り口で記事を発信すれば、世の中の非正規労働者への理解が深まるか」への回答にもなると思いますが、それはギグワーカーをひとくくりにしたような大ざっぱな報じ方を改めることです。
ギグワーカーといっても、高度なIT技術や独創的なアイデアを生かして大手企業を相手にする仕事もあれば、特別なスキルを必要としない低報酬の単純作業もある。ギグワーカーを選択した動機にしても、「働く場所や働く時間が自由だから」という人もいれば、介護や子育てで正社員的な働き方ができないからという人もいるのに、です。
ギグワーカーは近年、急拡大した働き方で政府もまだ、その実態をつかみきれていないのが実情です。雇用されている人が享受する最低賃金や社会保険などの保護の仕組みをどう適用するかという議論も遅れています。こうした動きも注視しながら、ギグワーカーのメリット、デメリットを冷静に伝えることが重要だと感じています。
欧州でのギグワーカーの聞き取り調査では、賃金が低くても柔軟な働き方という利点から「仕事の満足度が高い」ことが分かりました。その結果、生活満足度も正社員などより総じて高かったといいます。日本でも、そうなるのか要注目ですね。