Powered by 東京新聞ABOUT PROJECT
いま、わたしたちのまわりで、
起きていること。
毎日の勉強や、遊びに恋愛、就活。普段の暮らしの中では見えてこないたくさんのできごと。環境のことや政治、経済のこと。友達の悩みも、将来への不安も。小さなことも大きなことも全部、きっと大切な、自分たちのこと。
確かなこと。信じること。納得すること。コミュニケーションや、意見の交換。
あたりまえの自由さ、権利。流れてきた情報に頼るのではなくて、自分たちの目で耳で、手で、足で、感動をつかんでいく。
東京新聞『STAND UP STUDENTS』は、これからの社会を生きる若者たちに寄り添い、明日へと立ち向かっていくためのウェブマガジンです。等身大の学生たちのリアルな声や、第一線で活躍する先輩たちの声を集めることで、少しでも、誰かの明日の、生きる知恵やヒントになりたい。
時代を見つめ、絶えずファクトチェックを続けてきた『新聞』というメディアだからこそ伝えられる、『いま』が、ここに集まります。
STUDENT VOICE
高瀬凜子
19歳
STUDENT VOICE
差別をしないために
私たちができること
高瀬凜子 19歳
差別をしないために
私たちができること
ボランティア活動を支援する NGO にかかわり、たくさんの当事者の方からお話を聞くようになって、差別って多数派と少数派との間に起こると思っていたんですが、必ずしも多数派だけが差別しているとは限らないし、もっと個人的な、価値観の違いや知識量の差でも起きるんだいうことを知りました。そもそも一人ひとり違って当然なのに、「自分と違う」と線引きをして、無意識に差別してしまう私たち。そんな差別をしないためにも、たくさんの経験をして、いろいろな人たちがいるんだってことをもっと理解していきたいです。
東京新聞 社会部 太田理英子から
高瀬さん、はじめまして。ご質問をどうもありがとうございます。「そもそも一人ひとり違って当然なのに」というお言葉、おっしゃる通りだと思います。ボランティア活動でさまざまな立場、価値観の方と出会い、既に多くの気づきや刺激を得られているんでしょうね。
私のこれまでの取材相手を振り返ると、実は自分と違う意見や考え方の人ばかりだった気がします。同じ方向を向いているつもりでも、観点の違いに気付くことも珍しくありません。
その中で心掛けるようになったのは、「この人は理解できない」と切り捨てるのではなく、なぜ相手がその意見や言動に至ったのか、背景を考えることです。
たとえば、極端な例かもしれませんが、子に凄惨な虐待をした二人の父親を取材した時のこと。「子どもが言った通りにできないことが許せない」「自分が抱く時だけ泣かれる」といった動機を聞き、最初は「それだけでそんなに殴るの?」と信じられませんでした。
でも生い立ちなどを聞く中で見えてきたのは、日常的な体罰がある家庭で育ったこと、イクメンであることを求められるプレッシャー、育児の相談先がない孤独、「頭では暴力はいけないと分かっているのに衝動が止められない」という苦悩―。表面的には分からなかった事情や心理、社会的課題が浮かび上がりました。虐待は刑罰だけでは根絶できず、幅広い未然防止策、加害者支援のアプローチも必要と考えるきっかけになりました。
きれいごとに聞こえるかもしれませんが、自分と違う意見や価値観を持つ人と向き合うことは、新たな視点が得られるチャンスだと思います。同じ意見や価値観を持つ人とばかり関わっていても、なかなか視野は広がらないですよね。意見が違う人だからこそ、耳を傾けるべきなのかもしれません。ただ、その際に相手に同調するのではなく、きちんと自分の考え方も丁寧に伝える必要があります。
ある上司からは「複数箇所から話や見方を得て事実にたどり着こうとすることが本来の記者のあり方。意見が違う人と向き合うことを面白がれ」と言われました。人との出会いを思い切り楽しみ、大切にしたいと思っています。