Powered by 東京新聞ABOUT PROJECT
いま、わたしたちのまわりで、
起きていること。
毎日の勉強や、遊びに恋愛、就活。普段の暮らしの中では見えてこないたくさんのできごと。環境のことや政治、経済のこと。友達の悩みも、将来への不安も。小さなことも大きなことも全部、きっと大切な、自分たちのこと。
確かなこと。信じること。納得すること。コミュニケーションや、意見の交換。
あたりまえの自由さ、権利。流れてきた情報に頼るのではなくて、自分たちの目で耳で、手で、足で、感動をつかんでいく。
東京新聞『STAND UP STUDENTS』は、これからの社会を生きる若者たちに寄り添い、明日へと立ち向かっていくためのウェブマガジンです。等身大の学生たちのリアルな声や、第一線で活躍する先輩たちの声を集めることで、少しでも、誰かの明日の、生きる知恵やヒントになりたい。
時代を見つめ、絶えずファクトチェックを続けてきた『新聞』というメディアだからこそ伝えられる、『いま』が、ここに集まります。
STUDENT VOICE
内田みのり
22歳
STUDENT VOICE
「なぜ」と思うことが
たまっています
内田みのり 22歳
「なぜ」と思うことが
たまっています
毎日生きている中で「なぜ」と思うことがたまっています。特に「性別」や「年齢」という理由で決めつけて私たちの邪魔をしないでほしい。夜道を歩く女が悪いとか、痴漢される格好をしている女が悪いとか。安全な社会をみんなで作るべきなのに。ただ、そういう違和感をおぼえてもまわりと共有するのが難しいんですよね⋯。話したいけれど言い出せない。でも「違和感」って誰にでもあると思うし、その違和感を気軽に伝え合える社会になるといいなと思っています。
東京新聞 東京すくすく編集長
浅野有紀から
ご質問ありがとうございます。考えを周りと共有すること、毎日のようにしています!
みのりさんのおっしゃる「違和感」が取材の端緒となることが多いので、記者個人が感じた違和感に共感してもらえるかどうか、同僚や上司に聞くようにしています。
私は今、子どもや子育てについての記事を発信するウェブメディア「東京すくすく」の編集長として、日々取材をしています。
8月の話ですが、こども家庭庁の予算の記者説明会が午後5時スタートだったことに強い「なぜ」を感じました。
「こどもまんなか」を掲げる省庁なのに、説明会が終わるのが6時では、保育園に預けている子どもを迎えに行く時間に間に合わないじゃないか。こども家庭庁の職員で幼い子どもを育てている人たちはどうしているのか。こども家庭庁は「働き方改革」を掲げ、子育てと仕事の両立を応援しているのではなかったか⋯。「なぜ」が止まりませんでした。
その記者説明会の日は、めったに使わない延長保育を利用しました。一夜明けても、もやもやは消えず、先輩記者に怒りながら伝えました。「本当にそうだよね!都議会は深夜まで委員会が続くこともあると聞くし、子育て中の議員や職員は働きづらいはず⋯」と先輩も本気で怒ってくれました。
そこで、当時の加藤鮎子大臣の記者会見で「どうか、こども家庭庁の記者発表は、子育てとの両立がしやすい時間帯に設定してもらえないか」と発言しました。
正直、とても緊張しましたが、「できることはないか相談したい」という言葉を引き出すことができました。後日、こども家庭庁の広報室からも「各部に午後5時には説明会を終われないかと要請した」と伝えられました。そのことをコラムに書きました*。それだけでなく、各自治体の議会が深夜まで開かれている事情を取材すると面白そう、と新しい企画にもつなげようとしています。
* 東京すくすくは6周年を迎えました 読者のみなさまへのお礼と編集長交代のお知らせ(2024年10月4日「東京すくすく」)
https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/message/91211/
ここで紹介したのは日々の雑談で共有した例ですが、東京すくすく部は毎週アイデアを持ち寄る会議を開いています。会議というよりは、子育てあるあるで盛り上がるおしゃべり会のようなイメージです。そこでブレストして、どんな記事ができそうか意見を出し合って、取材を始めます。
先日の会議では、ヨッピーさんという面白いライターがいて、サウナが趣味で、子どもがいても安心して銭湯を楽しんでもらう託児付きイベントを開いているという情報をメンバーが寄せてくれました。著書を読むと、家事を最適化すれば子育てはぐんと楽になるという熱い思いが書かれていて、ぜひお話を聞いてみたいと思い、私がインタビューすることになりました*。
*〈家族のこと話そう〉ライター ヨッピーさん 堅物のおやじは僕を医者にしたかった やんちゃしても大学に行けたのは中受のおかげ(2024年12月9日「東京すくすく」)
https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/oyako/94213/
社会部や経済部、地方の支局など、どこの部署でも、記者はきっと問題意識を誰かしらと共有し、取材につなげていると思います。
でも学生時代を振り返ると、日々感じる違和感を友人と共有してきたかというと、あまりしてこなかった気がします。みのりさんのように言い出せないというよりは、当時は将来の夢や恋人など、自分のことで精一杯だったからでしょうか(お恥ずかしいですが)。最近になってジェンダーの問題や先日の兵庫県知事選について、友人と語り合うようになりました。お互い年を重ねて、自分が置かれた小さな社会での違和感を口にしやすくなったのかな。
違和感を共有することで、いざという時に声を上げられる人が増え、社会がほんの少しずつですが、いい方向へ変わっていくと思います。日常の中の「なぜ」を、表現できる場所がもっと学校教育の頃からあるといいですよね。そうした対話から生まれるものはきっとある。最近では生徒の声で校則が変わるなど、社会の変化は確かに起きています。みのりさんが抱える「なぜ」も、どうぞ大切に育ててあげてほしいです。