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STAND UP STUDENTS Powered by 東京新聞

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いま、わたしたちのまわりで、
起きていること。

毎日の勉強や、遊びに恋愛、就活。普段の暮らしの中では見えてこないたくさんのできごと。環境のことや政治、経済のこと。友達の悩みも、将来への不安も。小さなことも大きなことも全部、きっと大切な、自分たちのこと。

確かなこと。信じること。納得すること。コミュニケーションや、意見の交換。
あたりまえの自由さ、権利。流れてきた情報に頼るのではなくて、自分たちの目で耳で、手で、足で、感動をつかんでいく。

東京新聞『STAND UP STUDENTS』は、これからの社会を生きる若者たちに寄り添い、明日へと立ち向かっていくためのウェブマガジンです。等身大の学生たちのリアルな声や、第一線で活躍する先輩たちの声を集めることで、少しでも、誰かの明日の、生きる知恵やヒントになりたい。

時代を見つめ、絶えずファクトチェックを続けてきた『新聞』というメディアだからこそ伝えられる、『いま』が、ここに集まります。

STUDENT VOICE

高橋えりか

23歳

STUDENT VOICE

立ち止まったっていい!

高橋えりか 23歳

立ち止まったっていい!

私は昨年の夏まで1年間、休学していました。気付けば3年生になり、自分が何をしたいのかわからないままレールに乗って有名企業を目指して就活をはじめなければならない。そんな流れに抵抗する勇気をくれたのは「ギャップイヤー」を取って自由に学生生活を楽しんでいるスペイン人の友だちでした。休学のおかげでインターンをしたり社会人の先輩たちとゆっくり話したり、自分がどうなりたいのかをちゃんと考える時間が取れました。枠から外れたからこそ、いろいろな選択肢が広がった気がします。

新聞やニュース、メディアについて
聞かせてください
実家で新聞を取っているのですが活字が苦手で読んでいませんでした。ただ、休学を機に時間ができたので本を読むようになって、それからは新聞も読むように。SNS でニュースを知ると、誰かのコメントに「この見方が正しいのか」と流されてしまいがちです。だから一度立ち止まって、気になったニュースを新聞で確認するような使い方をしています。
東京新聞の記者に
聞いてみたいことはありますか?
日本の学生が使う「休学」や「留年」は「逃げ」とか「時間の無駄」とか、レールから外れてしまった印象を持たれるけれど、海外の学生がよく使う「ギャップイヤー」は自由なイメージがあってどこかポジティブ。同じ「休学」を意味する言葉なのにこの差が生まれてしまうのはなぜだと思いますか?

掲載日:2025年3月4日
回答 あり

東京新聞 特別報道部 中川紘希から

休学に思い入れがあり、休学を勧める記事を書いたことがある立場からお話させてください。日本で休学などが否定的に捉えられているのは、日本が画一的な人材だけを育てれば発展できた時代があり、そうした考え方がまだ残っているからではないでしょうか。

戦後の日本は製造品を輸出するなどして成長したそうです。その際には多様な考えや経験を持つ人材はあまり必要としなかったのではないかと思います。学校をストレートで卒業した無難な人材が良いとされ、休学や留年は否定的に見られたのではないでしょうか。

ですが、その後の日本経済は停滞し状況は変わっています。僕が大学生だった10年前でさえも休学して、留学したり起業したりする人が一定数いました。今は「前向き休学」「ポジティブ休学」という言葉もあるそうです。社会が休学を受け入れつつあるのではないでしょうか。

こんな話をしながら、実は僕は休学していません。「留学してみたい」という思いも抱きながらも試しに就職活動をしてみて、この会社に採用されて入社しました。ただ後悔も残っていました。それで似た立場の人を後押しできないかと考え、2017年に「新入生の君たちへ 寄り道のススメ」という企画を提案し採用されました。

他の記者と一緒に、休学、留学、フリーターの経験者の方などにインタビューし、僕は、当時「休学・留年の会」を主催していた社会起業家の喜多恒介さんを取材しました。喜多さんは「現代は地図のない時代。休学して自分がどう歩むかの指針となる『心のコンパス』を探してはどうか」と提案されていました。「キャリア支援などで1年に約100人の企業の人事担当者と話すが休学は就活の不利にならない」とのご意見も印象深かったです。

高橋さんにも迷いがあったかと思いますが、休学していたとのことでその決断を尊敬します。休学中に何かを成し遂げていたら素晴らしいことですが、達成しなくても人と違う道を選び悩み抜いたことは、次の進路やその先の人生にずっと役立つものではないかと思います。

社会人になって思うのは「休職ももっと気軽にできないか」ということです。社会人になると仕事が多忙だったり長期休暇が取れなかったりしてメンタルの不調を起こす人もいます。休職しやすい社会は、そんな息苦しさを打開する一手になるのではないかと勝手に思っています。休学を経験していない立場で恐縮ですが、ともに「人生の寄り道」を普及していただければ幸いです。

中川紘希
2016年入社。名古屋整理部、石川県の七尾支局、静岡総局の勤務を経て、昨夏から東京新聞特別報道部。趣味はスノーボード。31歳。

回答掲載日:2025年4月9日
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