Powered by 東京新聞ABOUT PROJECT
いま、わたしたちのまわりで、
起きていること。
毎日の勉強や、遊びに恋愛、就活。普段の暮らしの中では見えてこないたくさんのできごと。環境のことや政治、経済のこと。友達の悩みも、将来への不安も。小さなことも大きなことも全部、きっと大切な、自分たちのこと。
確かなこと。信じること。納得すること。コミュニケーションや、意見の交換。
あたりまえの自由さ、権利。流れてきた情報に頼るのではなくて、自分たちの目で耳で、手で、足で、感動をつかんでいく。
東京新聞『STAND UP STUDENTS』は、これからの社会を生きる若者たちに寄り添い、明日へと立ち向かっていくためのウェブマガジンです。等身大の学生たちのリアルな声や、第一線で活躍する先輩たちの声を集めることで、少しでも、誰かの明日の、生きる知恵やヒントになりたい。
時代を見つめ、絶えずファクトチェックを続けてきた『新聞』というメディアだからこそ伝えられる、『いま』が、ここに集まります。
STUDENT VOICE
室園元
23歳
STUDENT VOICE
SNSは
大きな舞台だ
室園元 23歳
SNSは
大きな舞台だ
僕は SNS は大きな舞台だとイメージしている。この舞台の大きな特徴は観客の誰もが自由に舞台上に上がる(コメントする)ことができることだと思う。しかしこの舞台に上がるには、スポットライトを浴びて観客(世界)に向かって言葉を放っているという意識、舞台の当事者であるという意識が必要だ。「広い舞台だし自分は注目されないだろう」と、悪口を発する人へ。たとえ広い舞台でも、たくさんいれば、観客の目につきますよ。
東京新聞 外報部 加藤美喜から
室園さんの指摘する光景は、いわゆる『メディアスクラム(集団的過熱取材)』と呼ばれ、マスメディアが最も批判される『マナー』の一つだと思います。
私自身も、駆け出しの記者の頃から過熱取材を何度も経験しました。正直言って、あの現場は記者としても苦しいものがあります。傷ついている被害者に、押し合いへし合いの中で多数のマイクやカメラを突きつけ、結果的に二次被害を与えてしまう。あの過熱する状況の中で、誰も現場を仕切れず、ジレンマばかりが募っていく。だからと言って警察に仕切ってもらっては、自ら報道統制を求めることになってしまう。
日本新聞協会は今年6月、現場で質問を集約したり代表取材を申し込むなど、メディアスクラム防止のための申し合わせを発表しました。昨年7月の京アニの放火殺人事件で、各社が協力して代表を立てた事例が念頭にあります。ようやく、業界レベルでの指針が約20年ぶりに具体的に進展しました。
SNS もそうですが、国家が情報を統制している国は多くあります。すべての情報が匿名で出されたり、そもそも発表されない社会がよいのか。でも自分たちでマナーを守らなければ、そうなる危険性もあります。
何より、被害者の声を伝えることは、事件事故の再発を防止し、社会の理不尽なことを変える意義があります。殺人事件の時効撤廃も、裁判での被害者の意見陳述も、飲酒運転の厳罰化も、被害者の訴えが広く社会に伝わり法改正につながりました。
自分の経験から言えば、多くの被害者は「訴えたいこと」を持っています。そっとしておくことが『放置』にならないように、大事なのは受け止めるタイミングと、そのために時間をかけて信頼関係を築くことだと思います。メディアは、被害者に対してだけでなく、読者や社会に対するマナーも意識しながら、取材方法を模索していかなければならないと思います。