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STAND UP STUDENTS Powered by 東京新聞

Powered by 東京新聞ABOUT PROJECT

いま、わたしたちのまわりで、
起きていること。

毎日の勉強や、遊びに恋愛、就活。普段の暮らしの中では見えてこないたくさんのできごと。環境のことや政治、経済のこと。友達の悩みも、将来への不安も。小さなことも大きなことも全部、きっと大切な、自分たちのこと。

確かなこと。信じること。納得すること。コミュニケーションや、意見の交換。
あたりまえの自由さ、権利。流れてきた情報に頼るのではなくて、自分たちの目で耳で、手で、足で、感動をつかんでいく。

東京新聞『STAND UP STUDENTS』は、これからの社会を生きる若者たちに寄り添い、明日へと立ち向かっていくためのウェブマガジンです。等身大の学生たちのリアルな声や、第一線で活躍する先輩たちの声を集めることで、少しでも、誰かの明日の、生きる知恵やヒントになりたい。

時代を見つめ、絶えずファクトチェックを続けてきた『新聞』というメディアだからこそ伝えられる、『いま』が、ここに集まります。

STUDENT VOICE

諏佐円香

23歳

STUDENT VOICE

声を上げられない人のために

諏佐円香 23歳

声を上げられない人のために

私は誰かの生きづらさに寄り添い、言いたいことをはっきり言える人になりたいです。小さい頃から悲しんでいる人がいたら助けてあげたいっていう思いが強くて、声を上げられない障がい者や心の病を抱えている人をたくさん見てきました。隠すべきことではないのに、誰にも言えず、隠さないといけないことになってしまっている。私も生きづらさを抱えていました。でもある日、新聞で、常識にとらわれずに力強く生きている人の記事を読んで救われたんですよね。新聞は、いつでも私の味方です。

新聞やニュース、メディアについて
聞かせてください
SNS は連絡手段や流行をチェックする娯楽としては使えるとは思うんですけど、事実ではないことの方が多いですし、「いいね」の一方で意見が違うだけでアンチになったり、二極化するのがよくないなと。だからこそ視野を広げたり思いがけない気づきを得られたりする新聞のようなメディアが必要なんだと思います。
東京新聞の記者に
聞いてみたいことはありますか?
活字離れをしてしまっている若者が多い中で、記者として「届いているな」と感じることはありますか? また、届いていないと感じた時の対策はありますか?

掲載日:2025年6月25日
回答 あり

東京新聞 デジタル編集部 加藤豊大から

質問ありがとうございます。記者として「届いているな」と感じられるかどうかは、とても大切なことだと思います。(時には「記事を書いただけ」「掲載されただけ」で達成感を得てしまいそうになることもあるのですが、)新聞記者の役割は、読み手に少しでも何かを感じてもらい、社会を良い方向に動かすことにあるはずだからです。

この原稿は2025年7月に書いています。そのため、このテーマを考えると、新興政党が躍進した先日の参議院選挙のことが頭に浮かびます。

「新聞やテレビは本当のことを伝えないから信用できない」。街中で取材した有権者からは、支持政党を問わず、たびたびそんな話を聞きました。このままでは「オールドメディア」の記者であることが、情報を発信するにあたり「ハンディキャップ」になりかねないと感じるほどでした。

確かに、強烈なキャラクターの党首が熱を帯びてメッセージを打ち出す演説動画には強いインパクトがある。それに比べて、地道な事実確認に基づいた新聞各社のファクトチェック記事は、記者の思いとは裏腹に地味に見えるのかもしれません。「事実に基づかない極端な主張が流布していた場合、それを打ち消す正確で客観的な事実を記事として示せば、読み手は分かってくれる」。新聞記者はそう期待しています。

しかし、その期待は、あくまで期待にすぎない部分もあるかもしれないと実感しました。もちろん事実に基づく議論が最も重要であり、マスメディアの報道はそのためにあるという大前提は変わらないです。ただ残念ながら、今のままのやり方だけでは、最も記事を読んでほしい人たちに、何かを感じてもらったり、社会を動かしたりすることは難しい。こんな時、「届いていない」と感じます。対策を考えるのは簡単ではありません。

とはいえ、今回の参議院選挙中、「届いているな」と感じることがありました。それは、私が書いた記事のことではなく、私と同期入社の森田真奈子記者が書いた記事に登場した男性の行動についてです。

この男性は、選挙戦最終日、ある新興政党の演説会場で、抗議を示すために「差別反対」のプラカードを掲げた。演説が終わると、政党の支持者20人くらいが集まってきた。言い合いになるかと思いきや、そうはならなかった。男性が半泣きの状態で「頼むから真面目に聞いてほしい」と求めると、政党の支持者は誰もやじを飛ばしたり罵倒したりせず、静かに議論が進んだ。支持者の1人が「抗議してる人って『やばいヤツ』なのかなって思ってたけど、違う意見も分かって良かったです」と話すと、周囲からは拍手が起きた—。

「頼むから真面目に聞いて」半泣きで差別に抗議⋯集まった参政党支持者との「本音トーク」の末に起きた拍手(2025年7月24日、東京新聞デジタル)https://www.tokyo-np.co.jp/article/423171

社会に多様な主張や言説がみられることは、健全な民主主義の実現という観点から理想的で不可欠なことです。そんな中で、意見が異なる相手に自分の話を聞いてもらうことは簡単ではない。この記事を読んで、私はプラカードを掲げたこの男性から、真摯さに加えて、熱量を感じました。もしかしたら、この日マイクを握った政党の党首の演説にもひけを取らない熱量だったのではないかと想像します。はっきりした答えではないのですが、これから先、「届いていない」と感じた時は、私はこの男性のことを頭に浮かべると思います。

「誰かの生きづらさに寄り添い、言いたいことをはっきり言える人になりたい」と話す諏佐さんは、とても頼もしく見えます。私も同じ思いで記事を書き続けたいです。

加藤豊大
2015年入社。横浜、石川県能登町、千葉での勤務を経て東京デジタル編集部。33歳。

回答掲載日:2025年7月30日
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