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STAND UP STUDENTS Powered by 東京新聞

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いま、わたしたちのまわりで、
起きていること。

毎日の勉強や、遊びに恋愛、就活。普段の暮らしの中では見えてこないたくさんのできごと。環境のことや政治、経済のこと。友達の悩みも、将来への不安も。小さなことも大きなことも全部、きっと大切な、自分たちのこと。

確かなこと。信じること。納得すること。コミュニケーションや、意見の交換。
あたりまえの自由さ、権利。流れてきた情報に頼るのではなくて、自分たちの目で耳で、手で、足で、感動をつかんでいく。

東京新聞『STAND UP STUDENTS』は、これからの社会を生きる若者たちに寄り添い、明日へと立ち向かっていくためのウェブマガジンです。等身大の学生たちのリアルな声や、第一線で活躍する先輩たちの声を集めることで、少しでも、誰かの明日の、生きる知恵やヒントになりたい。

時代を見つめ、絶えずファクトチェックを続けてきた『新聞』というメディアだからこそ伝えられる、『いま』が、ここに集まります。

TALK SESSION

後編
新聞というメディアを通じて

HIGH(er)magazine 編集長のharu.さんと NEUT Magazine 編集長の平山潤さんによるトークセッション。前編では、編集長としての仕事やお互いのメディアへの印象、そして情報への向き合い方やニュースを読み解くための視点を語ってもらいました。常に社会に対してアンテナを立て、問題提起し、意見を交わし合う2人の若き編集長。後編では、就職活動の体験談や、実際に東京新聞電子版を使ってみた感想を交えながら、自分の意見を持ち、正しい情報を選ぶ力を育むために必要なこと、そして学生たちへのメッセージを語ってもらいました。

*この対談は緊急事態宣言解除後にオンラインで行われました。

自分の意見を持つ、正しい情報を選ぶ力を育むためにはどうしたらいいと思いますか? 学生たちの声の中でも一番多かった声、悩みでした。

平山
僕はあまり本を読まないし、毎回これって決めて読んでいるメディアもないので、人と会話して、人から情報を得ることが多いんですね。性格的にも人が好きなので、積極的に人が集まるところに行くようにしてきました。音楽やアートなど表現活動をしてる友達や、本の虫でめちゃくちゃ博識な友達とかと話すだけでいろんな分野に興味を持つ機会になってた気がします。中には、マイノリティのジェンダーやセクシュアリティ、人種であることを理由に生きづらさを感じている友達もいました。いろんな人がいて、いろんな立場や、いろんな意見があるんだっていう体験を情報として自然とインプットしてるんですよね。それに対して一方的に意見を受け取るだけじゃなく、自分だったらどう考えるだろうとか、一緒に会話できるようになりたいって思うので、常に知りたい欲があって、それが情報を選ぶ力を育んでたのかなって思います。誰の意見も排除せず、誰に意見を聞けばいいのか、体験から学んだ気がします。

haru.
でもみんなが潤みたいに行動力があるわけじゃないし、東京だったらイベントや場所があるけれど、東京以外に住んでるとなかなか難しいよね。家族や学校の環境に依存してしまうし、多様な意見を聞いて体験する機会ってやっぱり少ないと思う。HIGH(er) magazine でもなるべくフィジカルに集まって何時間も意見を交わし合うようなイベントをやってきたけれど、この先、それが当たり前にできるかわからないから、なおさら考えないといけない。さっき話したみたいにオンラインでもいいから集まって、顔を合わせて情報を交換するって大事になってくるのかも。

家族や学校が教えてくれない大事なことを教えてくれるような専門的な知識を持っている大人が、もっと自覚を持って積極的に発信しないとなぁと思うんですよね。私も仕事や制作とか、目の前のことでいっぱいになってしまうけれど、もっともっと自分の言葉で意見や議論して、発信できる大人になりたいと思っています。いつの間にかマジョリティからこぼれ落ちちゃって生きづらさを感じてしまっている人たち、まわりとなんか違うなって感じてしまっているかつての私みたいな子たちに届くようなことをしたい。そのためには私も学生とか関係なく、スタートラインに立ったと思って、がんばらないとなって思います。それは自分のためだし、自分のまわりのコミュニティのため。

平山
ぼくも最近、政治を教科書レベルから勉強しないとって思って本を読み始めたし、積極的に話題にしてる。基礎の基礎から勉強しないとSNSの情報量やバイアスに向き合えない。新聞でももっと基礎のことを教えてくれるといいなと(笑)。

haru.
そうなんだよね。ファクトチェックするための基礎知識をつけないと。ネットが普及して、欲しい情報がすぐに手に入るって言われているけれど、本当に手に入ってるの?って思うことが多いんですよね。見てるだけというか。いろんな意見を聞いて比べて、自分の中で言葉にしてはじめて手に入るわけで、手に入れた気になっていてはいけないんだなと。実際に今回、東京新聞の電子版を使ってみて、新聞を読むというより、いろんな視点や意見があるんだなって知ることや、1つのニュースをニュースアプリなんかと読み比べをして視点を増やすことができたと思いました。もちろんファクトも大事だけれど、自分がどんな情報を必要としてるのか、気づくことが大事な気がします。必要なことに気づければ前のめりに情報を得ようとしますしね。

平山
東京新聞電子版はスクラップ機能が楽しかったですね。振り返ってみた時に、自分が今気になってることってこういうニュースなんだって分析できるし、自分がどんな情報を必要としているのか、自問自答にもなっている気がします。あと社説がおもしろくて、スクラップ帳には社説がたまっていきましたね。興味があることないこと関係なく向き合えるし、複数の視点で物事を見る能力が身に付くと思いました。

haru.
わかる。スクラップ機能いいよね。おばあちゃんが新聞スクラップしてて、お気に入りの記事を私に送ってくれてたのを思い出しました。新聞を全部読むのは大変だけれど、友達に送ったり、シェアできる機能があるともっといいかもしれませんね。


(それぞれスマホの東京新聞電子版アプリで「スクラップ帳」を振り返りながら話し始める)

平山
やっぱり都心のコアな出来事を扱っているページが雑誌的で読みやすくって、かつ共感できる記事が多い気がします。『男性のメイク』の記事なんかは 以前NEUT でも同じようなことを取り上げたなって思ってスクラップしました。『性行為依存症』の記事に寄せられた声なんかも、新聞がこういう話題を取り上げるんだと驚いたんですが、よくよく考えれば、自分たちの身近な問題なんだなって思います。

haru.
それ、私も気になってた。NEUT っぽいなと(笑)。あと、コロナ関連の情報はわりと気になって読んじゃいますね。メディアによって伝え方が違うんだということを強く認識したニュースなので、新聞の場合はこう書くんだって。一般的に語られてる情報ではなく、難病を抱えている人から見たコロナ対策とかは盲点というか、気づけない視点だったなと思います。人種差別の問題も、わかっているようでわかっていない。読めば読むほど深刻だなと感じます。

平山
そうだよね。ネットでなんとなく知った気になってることも、深掘りされてる。あとは、新聞ってもっと硬い印象があったんですけど、東京新聞だからですかね? 同じ問題でも全体的に読みやすかったです。デリケートな問題も真摯に取り扱ってて、NEUTと重なる部分、共感できる記事が多いのが印象的でした。

haru.
自分のまわりの小さなコミュニティの声も大事なんだけれど、自分のおじいちゃんおばあちゃんの世代の意見とか、新聞を読んでる10代の子たちの声とかが載ってて新鮮でした。普段あまり出会えない人たちの声。それぞれの生活の中で感じている疑問や政府への怒り、自分とは離れた世代への共感などが並列しているのは新聞ならではですよね。小さな声を届けるっていうのは東京新聞ならではという感じがしました。しかもこれほぼ毎日ですよね? しかも朝と夕方…。すごい…。月額3450円って言われるとためらうし、もっと特別な記事やギフトがほしいかなって思ってしまうけれど、月額1944円の学割で読めるならお得かも。

平山
使いやすさは課題かもしれませんが、視点を増やすためのツール、情報量に対する対価としては安いと思いますね。あと紙だとポストに届けてくれるんで読む習慣が作りやすいと思うのですが、アプリだと自分の中で習慣づけないといけないので、移動中に読むとか、授業の間に読むとか、自分のルーティーンを作るといいかもですね。

haru.
ドイツに、新聞と一緒に定期的にすごくかっこいい『Süddeutche Zeitungs Magazin』という雑誌を届けてくれる『Süddeutsche Zeitung(南ドイツ新聞)』という新聞があって、その雑誌が毎回楽しみで集めてました。写真もすごく素敵だし、政治やファッションがニュートラルに取り上げられててかっこよかったんですよね。東京新聞の視点で、今回のSTAND UP STUDENTSみたいに、いろんなクリエイターやアーティスト、いろんな世代の人たちの声がカジュアルにかっこよくまとまってる雑誌が付いてきたらイメージがガラッと変わって若いファンが増えるかも。

一般的に、就職活動によく新聞が使われるんですが、お二人は就職活動しましたか?

haru.
全くしてないですね。何も考えてませんでした(笑)。気づいたらみんなが就活してて、終わってたという感じです。面接の受け方すらわからない…。就活ができるっていうのも才能なんだなって思います。

平山
haru.は卒業してすぐに起業だもんね(笑)。僕も THE・就活はしてないですね。僕は何十社も受けてどこかの企業に選ばれるのを待つよりも、実際に自分で社内を見て、「自分で入りたい企業を選びたい」って気持ちはありました。もちろん自分だけでは選べないので、両者が納得するのは前提ですが。だからとにかく短期や中期でできるインターン先を探して、自分に合う業界や社風などを見つけることは意識していました。あとは、大手よりも、ベンチャーや中小企業で、若いうちから実戦で叩き上げていく方が自分には向いてるなと思ってました。それが自分なりの就活だったのかもしれません。比較的保守的な大学だったので、まわりの友達がスーツを着だして就活してるのを見て、居心地の悪さは感じてましたね。

haru.
東京藝大って大学院に行く人が多いので、私もなんとなく大学院に行こうと思ったんですけど、なんとなくっていうのがバレたんでしょうね。落ちちゃって…。あとはその時に作ってるものとかやってることに夢中すぎて、これを仕事にしていくんだなって自然と思っていたというか。なんとかなるっていうのはどこかにありましたね。もちろんまわりの仲間や信頼できる先輩たちのおかげなんですが。

平山
なんとかなるっていう根拠のない自信は確かにありましたね(笑)。親や姉兄が手に職を持っている家庭で育ったので、大企業っていうイメージはなく、小さな会社でもいいから自分の力で勉強して、スキルアップしていきたいっていう思いが強かったですね。

学生へのメッセージはありますか?

haru.
学生時代に自分のやりたいことはやった方がいいと思います。下手でも何もわからなくてもいいから、少しでも興味があることがあったら形にしてみるのがいいと思う。だって大人が怒ってくれたり失敗が許されるっていうのは学生の時だけだから生かした方がいいと思う。私はとにかく雑誌を作りたいって思ったから仲間を集めたり、デザインを1から勉強したり、モデル事務所の人に怒られたりしながら、なんとか形にしていきました。毎日カオスだったしお金もないし大変だったけど、後悔はしていないです。まわりの空気を読まずに、やりたいことをとことんやれば、いいことあるかもよ。

平山
かっこいいなあ。僕もいいこと言いたい(笑)。僕は haru.みたいにものを作ったり1つのことに夢中になるってことがなかったけど、逆に「何にも特化していない」からこそ、いろんなものに興味が湧いたし、いろんな人に会って、いろんな意見を受け入れることができたと思ってます。もちろん「何にも特化していない」ことで無力感に包まれ、自信喪失する時もたまにあるんですが…(笑)。なるべく壁を作らず、1つのことじゃなくていいので、自分の『好き』なことに触れるきっかけを作って、学んでいけば、いつの間にか自分らしさっていうものにつながっていく気がします。

haru.
そうだね。私も雑誌はあくまできっかけで、そこから派生したディレクションとか文章、写真とかいろんな表現を通して自分らしさみたいなものを探したんだと思います。あとは、政治の問題もそうですけど、環境のこと、差別のこと、いつか必ず自分のこととして実感する時がこの先、必ず出てくると思います。人と話すこと、新聞やニュースを読むこと、視点を多く持つこと、今からアンテナを立てて大事にした方がいいと思います。自分のために。そうすることが他者への想像力にもつながっていくと思うので。

平山
あと僕は学生のうちにもっと社会問題について勉強しておけばよかったなって思います(笑)。このサイトや新聞でそのきっかけを探してもいいし、NEUT Magazine でも「社会への関心」を持つきっかけにしてもらえるような記事を発信しているので、ぜひ読んでみてくれたらうれしいです。

haru.
うん。私も地道な作業かもしれないけれど、これをきっかけに意識をしっかり持って活動していけたらと思っています。

haru.
HIGH(er)magazine編集長
1995年生まれ。 東京藝術大学在学中に、同世代のアーティスト達と HIGH(er)magazine を編集長として創刊。 多様なブランドとのタイアップコンテンツ制作を行ったのち、2019年に株式会社HUGを設立。 取締役としてコンテンツプロデュースとアーティストマネジメントの事業を展開し、新しい価値を届けるというミッションに取り組む。

https://www.instagram.com/higher_magazine/
https://www.instagram.com/hahaharu777/
https://h-u-g.co.jp
平山潤
NEUT Magazine編集長
1992年、神奈川県相模原市生まれ。成蹊大学卒。ウェブメディア『Be inspired!』編集長を経て、現在は『NEUT Magazine(ニュートマガジン)』創刊編集長を務める。『NEUT Magazine』では「既存の価値観に縛られずに生きるための選択肢」をコンセプトに、先入観に縛られない視点を届けられるよう活動中。

http://neutmagazine.com
https://twitter.com/junhirayama

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