
Powered by 東京新聞ABOUT PROJECT
いま、わたしたちのまわりで、
起きていること。
毎日の勉強や、遊びに恋愛、就活。普段の暮らしの中では見えてこないたくさんのできごと。環境のことや政治、経済のこと。友達の悩みも、将来への不安も。小さなことも大きなことも全部、きっと大切な、自分たちのこと。
確かなこと。信じること。納得すること。コミュニケーションや、意見の交換。
あたりまえの自由さ、権利。流れてきた情報に頼るのではなくて、自分たちの目で耳で、手で、足で、感動をつかんでいく。
東京新聞『STAND UP STUDENTS』は、これからの社会を生きる若者たちに寄り添い、明日へと立ち向かっていくためのウェブマガジンです。等身大の学生たちのリアルな声や、第一線で活躍する先輩たちの声を集めることで、少しでも、誰かの明日の、生きる知恵やヒントになりたい。
時代を見つめ、絶えずファクトチェックを続けてきた『新聞』というメディアだからこそ伝えられる、『いま』が、ここに集まります。
STUDENT VOICE
川﨑文華
21歳
STUDENT VOICE
「豊かな時間」を
忘れたくない
川﨑文華 21歳
「豊かな時間」を
忘れたくない
AI が発展していく中で「すぐに答えを求める社会」にモヤモヤしています。みんななんでそんなに答えを急ぐんだろうと思いながら、私もつい求めてしまう。大学で学んでいる哲学も AI に聞くとある程度の結論がわかってしまう。その方が早い場合もあります。でも、本来は結末に至るまでの過程をみんなで吟味するのが哲学の素晴らしさだし、答えが出ないとりとめのない話さえも大切にできる「豊かな時間」を、私は忘れたくないです。
東京新聞 文化芸能部 樋口薫から

ご質問ありがとうございます。「記者は体力勝負」というイメージ、よくわかります。もう四半世紀も前ですが、私も同じような不安を抱えながら、新聞社に入りました。
学業からの逃避として読書にふけり、読み疲れるとネット将棋に明け暮れる。極めてインドアな学生生活を送っていたので、友人からは「向いてなさそう」「もって3年かな」と呆れられ、心配されたのを覚えています。志望理由にも高邁な精神などさらさらなく、「文学や将棋に関わる仕事がしたい」という漠然とした願望があったきりでした。
そんな薄弱な動機で務まるものか、心配は確かにあったのですが、それで就職をためらったり、将来について思い悩んだりした記憶は不思議とないんです。腹を決めて飛び降りた。そんな心境だったように思います。
気づけば歳月が流れ、この10年ほどは文芸と将棋の取材を担当し、好きなことを仕事にできる喜びを感じています。下積みの時代がきつくなかったと言えば嘘になりますが、少なくとも無駄な時間はなかったように思います。記者というのは仕事であると同時に、生き方を指す言葉でもあるからです。
20世紀を代表する詩人オーデンに「見るまえに跳べ(Leap Before You Look)」という詩があります。英語のことわざ「Look before you leap」をもじったもので、大江健三郎も短編のタイトルに引いています。私がこの詩の存在を知ったのは20代後半になってからですが、すごく腑に落ちた感じがありました。
見るのもいいですが、跳ばなきゃいけない時がくるでしょう――。自分にとって、記者になることを決めたあの当時、そして記者になってからの日々は、目をつむっての跳躍の連続だったように思います。だからこそ、見てから跳んだのではたどり着けない場所に到達できたのだと実感しています。
川﨑さんは物理的な体力に自信がないとお感じなのかもしれません。ですが、あらゆる創造的な仕事に求められる、別の体力は備わっているようにお見受けします。それは思考の体力――容易に答えのでない問題にとどまって、辛抱強く考え抜く力です。
その力は AI 時代にあっても、いえ、AI 時代だからこそ、他者とあなたとを大きく分ける武器になり得る、と私は思います。願わくは、その力を生かして充実した仕事に就かれますことを。